最先端の技術が集約されたロボットに、I-PEX製品が選ばれた理由

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LOVEをはぐくむ家族型ロボット、LOVOT。愛くるしい見た目と、まるで命を持っているかのような多彩な感情表現には、見る人すべてを笑顔にしてしまう力があります。そして、そのLOVOTの中枢神経として使われているのが、I-PEXの細線同軸コネクタ、CABLINE®-CACABLINE®-VSです。なぜCABLINEを選ばれたのか、その経緯や決め手について、LOVOTの開発を行うGROOVE X代表取締役社長の林要氏と、エンジニアの田原正昭氏にお話を伺いました。

 

 

人々の幸せに、テクノロジーで貢献する


―本日はよろしくお願いします。まずは、自己紹介をお伺いできますでしょうか。

林:元々は自動車メーカーでエンジニアをしており、その後、人型ロボットの開発に携わりました。そこでロボットに無限の可能性を感じ、GROOVE X株式会社を立ち上げてLOVOTの開発をスタートさせました。

田原:私は電気設計と生産チームを担当しています。2016年8月に入社し、LOVOT開発の初期段階から設計に携わっています。

 

―非常に愛くるしいLOVOTですが、どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか。

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林:ロボットにはできると期待されがちで、しかし実現が難しいことはたくさんあります。例えば、様々な食品が入った冷蔵庫からビールを持ってくるといったこと。人間にとっては簡単なことでも、ロボットにとっては意外と難しいんですね。

一方、ロボットにはできないと思われがちでも、実際はできることがたくさんあります。触れられたことを認識するといった機能は、従来のロボットに実装されることがほぼありませんでしたが、やればできるんです。そこで、ペットのような存在のロボットを開発できるのではと考えたのがきっかけでした。

日本にはペットを飼っている人の数と、欲しいけど飼っていない人の数の差が2倍あるそうです。このギャップをテクノロジーが補完することで、ペットが欲しいけど飼えない人のペットニーズを満たし、新たな産業が作れるのではと考えました。

 

―ペットが欲しいけど飼えない人とは、具体的にどのような方々なのでしょうか?

林:動物アレルギーの方や忙しくてペットの世話ができないという方などですね。ペットを飼い始めると、長時間家を留守にすることが難しくなります。また自分の寂しさを癒したいという理由でペットを飼いたくなっても、自分の留守にペットに寂しい思いをさせたくないと思い直して、結果的に飼うことを躊躇してしまう人も多く見られます。

また、LOVOTならオフィスでペットを飼うという選択肢も提供できます。大半の日本のオフィスではペットを飼うことが許されていません。しかし、アメリカの西海岸では、従業員の生産性向上に寄与すると言われ、オフィス犬に注目が集まっています。

今の生活や仕事においてペットがいると優しくなれたり、心が安定したりするのに、現実問題として飼えない方々がいる。そういった方々の幸せに直接貢献できるのがLOVOTなんです。

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膨大なセンサーを処理することで、生命感を表現


―人々の幸せに貢献するロボットなのですね。従来のロボットとの違いはどのような点にあるのでしょうか。

Article-image 3 LOVOT ALL林:計算能力とセンシング能力が一番の違いです。今までのロボットは決められた動作をしたり、反応が遅かったり、生物と異なる動きをしていました。しかし、これでは生命感がありません。動物は逃げる、捕食するといった「動きの俊敏さ」を進化させることで、生命を維持する選択を取ってきました。世の中には動きや反応が良い動物が大半を占めるので、生命感を感じるにはリアクティビティが重要になるのです。従来のロボットに生命感を感じられなかったのは、ロボットに働きかけた際の反応にギャップがあったからです。LOVOTは、その違和感を排除することを目指しました。


動物には膨大なセンシング機能がついており何をしてもすぐさま反応します。ロボットでその動作を行うためには、膨大なセンサーを搭載してそれらを常に計算処理する必要があります。それを実現したのがLOVOTです。あらゆるセンサーを同時に動かしながら豊かな反応を作っていくことで、生命感を出しています。

 

―LOVOTの生命感は、具体的にどのように表現しているのですか?

林:人になつく、移動する、抱っこされるという3つの動作で表現しています。これらの3つを同時に目的にしたロボットは、おそらく世界的にも存在しないでしょう。そもそも、ロボットがなつくという概念があまり一般的ではありません。人とのインタラクションによってなつき、その上で、障害物を避けながら移動し、柔らかく温かいボディで抱っこをされ、スキンシップを理解するというアプローチは、弊社だけが実現していると思います。

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高速処理と動作への耐性を備えたCABLINE


―LOVOTでは、I-PEXの細線同軸コネクタ、CABLINE-CA, CABLINE-VSが使われています。この製品を選ばれた経緯について教えてください。

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田原:大きな理由としては2つあります。1つ目がロック機構を備えているという点。開発初期の頃は圧着式のケーブルとコネクタを使っていましたが、LOVOTは色んな箇所が複雑に動くため、その動きに耐え切れずコネクタが外れてしまうことが少なくありませんでした。そうなれば当然LOVOTは機能を停止してしまうわけですから、絶対に改善しなければなりません。I-PEXのロック機構を搭載した細線同軸コネクタは激しい動きをしても外れることがなく、安心して使っていくことができましたね。また圧着式に比べると、取り外しの手間も少なくなりますので、開発作業がより快適なものになったのもうれしいポイントでした。

2つ目が、細線同軸コネクタ特有の「ノイズ」に強いという点。最新のセンシング技術を活用しているLOVOTは、搭載されているセンサーの数や基板の数がとても多く、電波を発信するものも少なくありません。一般的なコネクタは、こうしたノイズの干渉によって正しく信号が送られず、誤作動を起こしてしまったり動かなくなってしまったりといったことが頻繁に起こっていました。しかしCABLINEを使うようになってからは、電波のノイズに影響されることなく、信号が安定して送られるようになったのです。

 

―LOVOTでは、具体的にどの部分にCABLINEが採用されているのですか?

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田原:角と頭を繋ぐ部分にはCABLNE-VSを、そして、頭と胴体を繋ぐ部分にはCABLINE-CAを使わせて頂いています。角の部分はセンサー類の中でも特に重要度の高いものが収められており、安定した高速信号が求められる部分でもあります。また頭と胴体の接続に関しても同様で、LOVOTの性能を安定的に引き出すためには必須のポイントです。

人間でいうところの脊髄に当たる部分に、CABLINEが使われていると思っていただければわかりやすいかもしれませんね。他の部分であれば、トラブルが起こってもそこまで大きな影響は出ませんが、脊髄が痛んでしまうと全身に影響が及びます。それぐらい重要な部分だからこそ、CABLINEを採用させて頂きました。本音を言えば、ケーブルすべてをCABLINEにしたいぐらいに思ってはいるのですが、それだと重量がどうしても重くなりすぎてしまうため、特に重要な箇所に限定して使わせて頂いている状況です。

 

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CABLINEの安定性の高さを実感


―脊髄という重要な部分をCABLINEが担っているのですね。I-PEXとのコミュニケーションで印象に残っていることはありますか?

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左側:GROOVE X 株式会社 技術者 田原氏
右側: GROOVE X 株式会社 代表取締役社長 林氏

田原:試作機段階の頃は私が調達も担当していたので、たくさんコミュニケーションをとらせていただきました。調達に必要な情報について詳しくなかったため、スムーズな情報提供ができなかったものの、真摯にリクエストに対応いただけて本当に助かりました。日程や分納に関しても調整頂き、納期に尽力してもらえたのが印象的です。また、サンプルを使用する際も様々なアドバイスをいただけました。


―最後に、I-PEXにひと言いただけますでしょうか。

田原:十分な性能で満足しています。CABLINEと細線同軸ケーブルの接続から別のケーブル接続に置き換えたところはトラブルが起き、別途対応が必要になってしまったので、CABLINEと細線同軸ケーブル接続の安定性を実感しています。細線同軸ケーブル接続の重量などを度外視すれば、より多くの接続箇所にCABLINEコネクタと細線同軸ケーブル接続を使いたいと感じています。


―本日はお時間をいただきありがとうございました。

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今回ご採用頂いた製品
CABLINE-VS (0.5 mmピッチ, 水平嵌合タイプ, メカニカルロック付き細線同軸コネクタ)
CABLINE-CA (0.4 mmピッチ, 水平嵌合タイプ, メカニカルロック付き細線同軸コネクタ)

ロック機構・シールド性能をより進化させた製品
CABLINE-VS II (0.5 mmピッチ, 水平嵌合タイプ, EMIシールドカバー&メカニカルロック付き細線同軸コネクタ)
CABLINE-CA II (0.4 mmピッチ, 水平嵌合タイプ (狭小スペースタイプ), EMIシールドカバー&メカニカルロック付き細線同軸コネクタ)


GROOVE X 株式会社
2015年11月設立。「ロボティクスで、人間のちからを引き出す」をミッションに掲げ、人々の生活に潤いを与える存在として家族型ロボット「LOVOT[らぼっと]」を開発。2019年、毎年ラスベガスで開催される世界最大規模の家電見本市「CES2019」にてThe VERGE 「BEST ROBOT」を受賞。翌年の「CES2020」でも、イノベーションアワードを受賞。世界52か国750を超えるメディアに取り上げられた。

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