ポータブル医療機器の接続性を考慮した設計

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写真1. 自動体外式除細動器(AED)の使用準備をする救急救命士

接続性はヘルスケアを変革する機器の中核をなすものですが、相互接続、つまりコネクタは後回しにされがちです。
最初の設計プロセスで適切なコネクタを選択することで、全体的な性能と機能性を向上させることができます。

医療機器の設計者は、エレクトロニクス産業で最も困難な設計課題に直面しています。
ポータブル医療機器は、振動や衝撃、頻繁な移動による衝撃に耐えながら、簡単に移動できるほど小型・軽量でなければなりません。
これらの製品は、接続された機器やシステムの大規模なネットワーク内で動作するため、電磁干渉(EMI)と相互運用性も設計プロセスの初期段階で考慮する必要があります。

サイズ、トルク、ピン数、ロック機構といった通常の設計上の考慮事項に加え、医療機器に使用されるコネクタは、湿気、ほこり、化学物質、高温に耐えなければなりません。
使いやすく、何千回もの嵌合サイクルに耐える耐久性があり、しかも業界の厳しい規制に適合していなければなりません。

 

ワイヤレス接続の最大化


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写真2. I-PEXの小型RF同軸コネクタ MHF®シリーズは、ワイヤレス接続向けに、最小限のスペースで高いパフォーマンスを実現

ポータブル医療機器は、病室、救急車、患者の自宅など、医療現場から医療従事者が安全にアクセスできるクラウドや内部サーバーにデータを移動させなければなりません。
Bluetooth、セルラー、Wi-Fiが、一般的に使用されている無線技術です。
どの技術が最適かは、デバイスの使用方法と場所、送信するデータ量、接続頻度などに依存します。

Bluetoothは、その使いやすさと低消費電力により、ヘルスケア・アプリケーションに広く導入されています。
一方、通信範囲が狭く、データ転送速度が制限されるという欠点があります。
新たな技術Wi-Fi 6/6Eは、安定した高速大容量通信を提供しますが、Wi-Fiは一般的には機器が屋内外の場所を移動する間、安定した接続を維持するのには難しいとされています。

セルラーネットワークは、より広範囲をカバーし、信頼性が高く、既存のITインフラとのシームレスな相互運用性があります。
デメリットとしては、コスト、高い消費電力、セキュリティ上の懸念が挙げられます。
デバイスの接続性を最大化するには、コネクタを含む適切な電子部品の選択と、アプリケーションの要件に最も適した無線技術の組み合わせが必要です。

 

高速・高品質データ伝送の必要性


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 写真3. 縦篏合CABLINE®-UMZenShield® EMIシールド付き細線同軸コネクタ

医療機器の中には、機器間の単純な通信を必要とするものもありますが、ポータブル診断機器は、詳細で正確な高解像度のデータを高速伝送しなければなりません。
クロストーク、歪み、ノイズなどの要因は、信号品質を低下させ、許容できない遅延やエラーを引き起こし、リアルタイムで患者の治療に影響を与えます。
高周波プリント回路基板(PCB)などのコンポーネントは、シグナルインテグリティを最大化するように独自に設計されています。
また、完全にシールドされたコネクタは、信号の完全性を保証し、無線接続に使用されるオンボードアンテナの近くにコネクタを配置することを可能にします。

I-PEXコネクタは様々な医療機器に使用されています。
製品ラインナップの詳細についてはこちらから: https://www.i-pex.com/ja-jp/product

 

ポータブル超音波プローブアセンブリ用コネクタ


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写真4. ポータブル超音波プローブアセンブリ

超音波診断装置用のコネクタは、さまざまな厳しい条件下で詳細な高画質画像を実現するために、信頼性の高い高速接続を提供する必要があります。
1つの超音波プローブアセンブリには、個々のトランスデューサから信号プロセッサに信号を送る多数の同軸線が必要であり、柔軟なコンポーネントが要求されます。

詳細はこちらから: https://www.i-pex.com/ja-jp/library/article/cable-connectors-ultrasound-probe-assemblies