小型化と携帯性を可能にするコネクタ

小型化と携帯性

医療機器がより小型で携帯性が向上するにつれて、エンジニアはコネクタを含むすべての部品の小型化という課題に直面しています。ウェアラブル型ヘルスケア機器、コンパクトなポイント・オブ・ケア(POC)機器、そしてポータブル診断機器のトレンドとして、小型化されたコネクタがフルに性能を発揮することが求められています。現代の医療用コネクタは、極めて低背かつ高密度に進化し、小型化設計により多くの接続機能を詰め込んでいます。現在では、1つの小型コネクタが、複数のコネクタを必要とした機能を処理できるため、スペースと重量を節約できます。実際に1つの小型コネクタには、数十、場合によっては100以上のコンタクトを小さなフットプリントに収めることができます。これにより、細線同軸配列を備えたイメージングプローブのような複雑なデバイスが一つのインターフェースにすべての信号を集約できるようになります。このような小型の高速医療用コネクタは高度な診断に不可欠であり、デバイスをかさばらせることなく、多チャンネルと高速データレートを実現できます。

 

小型化のための設計戦略

小型デバイスで機能を最大化するために、いくつかのアプローチが採用されています。デバイス内部では、狭ピッチの端子構造とマイクロスケールのハウジングを備えたコネクタが使用され、複数の基板やフレックス回路を密に接続することができます。例えば、I-PEXの NOVASTACK® 基板対基板コネクタは、非常に低い嵌合高さで基板の高速積層が可能なため、コンパクトなデバイスにおける多基板構成に最適です。EVAFLEX®のようなFPC/FFCコネクタや、MINIFLEX®のような超薄型FPC/FFCアッセンブリは、狭いスペースでも信号を配線することができ、ウェアラブル設計に有用です。
もう一つの重要な戦略は多機能設計で、信号と電力(さらには流体チャネルや光チャネルを含むことも)を1つのコネクタに統合することです。コネクタの数が減れば、筐体の開口部も少なくなり、フットプリントも小さくなります。一方、無線通信を活用すれば一部の外部データポートをなくすことができますが、無線機器であっても充電やバックアップ用の接続にはコネクタが必要です。そのために、小型ドッキング用コネクタや同軸電源ジャックのような小型I/Oコネクタ が使用されます。

NOVASTACK 35-HDN
NOVASTACK ® 35-HDN
MINIFLEX 175-ST
MINIFLEX® 175-ST

I-PEXの MHF® 超小型RF同軸コネクタは、Wi-Fi、Bluetooth、5G用のアンテナをウェアラブルかつ携帯型のモニターに、スペースを取らずに組み込むことができる技術の好例です。また、デバイスが物理的にドッキングしてデータをアップロードしたり充電したりする必要がある場合、MINIDOCK™ シリーズは、堅牢でありながらコンパクトなドッキングコネクタを提供し、多数の嵌合サイクルに対応します。

 

MHF® I
MHF® I

 

サイズと耐久性のバランス

極端な小型化の潜在的なトレードオフは耐久性であり、そのためコネクタ設計者はサイズを縮小しながらも堅牢性を維持するよう努めています。医療機器では、頻繁な挿抜サイクルや、日常使用や患者の動きによる荒い取り扱いにも耐えられるコネクタが必要です。さらに、密集した電子部品同士の干渉を防ぐために、小型コネクタにもEMIシールドが組み込まれることがよくあります。最新の小型コネクタ設計は、「小さい=弱い」というわけではないことを示しています。例えば、細線同軸コネクタも信頼性を確保するためにロック機構やシールドを備えることが可能です。I-PEXは、「小型・軽量・耐久性」という医療用コネクタにおける理想的な三要素が実現可能であることを証明しています。これにより、医療分野の開発者は、大型のコネクタやケーブルに妨げられることのない、持ち運び可能でウェアラブルなクリニックレベルの高性能機器を実現できます。