細線同軸コネクタ選定のコツ

高速伝送用細線同軸コネクタを選択する際、悩んだ経験はありませんか?様々な指標があり過ぎて、コネクタはなかなか決めにくいですよね。
コネクタの選択をよりスムーズするために、本記事で選定のコツをご紹介致します。

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「細線同軸コネクタを選定したいのですが、どの様に決めて良いかわからない」と思うお客様はいらっしゃいませんか?
実は、コネクタはデバイスに直接関係があるとても重要な電子部品です。
適切なコネクタを選べないと、下記のような目標とされるデバイスパフォーマンスに到達できないケースもあります。
 

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では、失敗しない細線同軸コネクタを選択するコツはありますか?
実は、下記の順番で考えるとスムーズに決められますので、ぜひ一緒に実施してみてください。

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  1. 伝送規格の明確化

  2. EMC配慮の必要性

  3. 必要極数の明確化

  4. 希望コネクタサイズの決定

  5. ケーブルサイズの決定

  6. 嵌合方向の決定

選択準備 --- まずはI-PEX 細線同軸コネクタの検索サイト( こちらをクリック )を開いてご準備ください。

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伝送規格の明確化



デバイスやコンポーネンツによって、必要な伝送が異なります。コネクタを選択する前に、まず伝送したい信号について明確にしてください。伝送の規格によって、伝送スピードが決められています。ここでは例として、USB4規格に☑を入れました。

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EMC配慮の必要性


EMCとは?

信号を伝送されている最中に、周りにノイズを出したり、周りからノイズを受けたりします。ノイズを出すことによって、周辺機器の伝送に悪い影響が出ます。周りのノイズを受けると、自身が伝送する信号に悪い影響を受けます。
 

 

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I-PEXの ZenShield®は、コネクタ周辺にノイズを出さない事と同時にノイズを受けることも防ぎます。このシールド技術により、他の電子部品の配置に自由度があがり、基板実装のトレンドである高密度実装の実現に貢献します。
 

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例として、ノイズに気になる使用環境を想定し、EMC Shielding ( ZenShield® )に☑を入れました。

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必要極数の明確化


用途に応じ、必要な極数を選択してください。必要以上の極数コネクタを選ぶと、コネクタの単価が高くなるだけでなく、基板上の占有面積も無駄になってしまいます。
ここでは例として40Pを使う想定で、31-40に☑を入れました。
 

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希望コネクタサイズの決定


コネクタサイズは、高さ方向、ピッチ並び方向、奥行き方向で表しています。
このうち、一番よくみられているのは、高さとピッチ方向です。

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なぜコネクタのMax. 高さが重要?

細線同軸コネクタは主にPCBにReceptacleを実装し、Plugハーネス側と嵌合して使用します。嵌合状態のコネクタは、製品筐体内に収まる必要があるため、もしコネクタの全高が高すぎると筐体に干渉し、筐体が予定通りに組み込む事が出来ません。
ここでは、例として高さ方向を1.01 - 1.2(mm)に☑を入れました。

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ピッチとは? 

ピッチとは、コネクタの隣端子間の距離の意味です。
 

なぜピッチが重要?

細線同軸コネクタの場合、コネクタのピッチにより、使用できるケーブルの最大外径が決められています。

例1:0.5㎜ピッチの10Pinコネクタ、対応ケーブル外径0.5㎜ Max.

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例2:0.4㎜ピッチの10Pinコネクタ、対応ケーブル外径0.4㎜ Max.

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一般的にはケーブル径が大きいほど、伝送にメリットがありますが、一方で太いケーブルを選択すると、ケーブルの占有スペースが大きくなるというデメリットもあります。
 

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ここでは、例としてピッチを0.4(mm)に☑を入れました。

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⑤ ケーブルサイズの決定


ケーブルサイズ AWG(American Wire Gauge)とは?

下記イメージ図で説明した通り、中心導体の直径で表す数字です。AWGが大きいほど直径が小さくなります。
 

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同軸ケーブル構造イメージ

 
パイプで水を流すイメージしてみてください。パイプが太いほど、同時により多く水が流せますね。
ケーブルも同じで、中央の導体の径が大きいほど同時に多くのデータを伝送できます。
それでは、全て太いケーブルを使えばよいではないかと思うかもしれませんが、上記コネクタのピッチについて紹介したように、ピッチによって使えるケーブルも制限されています。

ケーブルインピーダンスとは?

上記ケーブルサイズ一覧表では、インピーダンスによってケーブルの外径も変わっています。
信号の伝送をパイプ通した水の流れに例えると、下記の様に違う径のパイプで水を流そうとすると、径が変更した箇所に急激な水流の乱れが発生します。
 

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これと同じように、インピーダンス整合されていない信号路で信号を流すと、信号の反射や干渉などの乱れによりロスが発生します。
信号をなるべく損失なく伝送させるためには、基板・コネクタ・ケーブル間のインピーダンス整合が必要です。

特性インピーダンスが整合されないと、下記のイメージになり、伝送ロスが発生します。

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特性インピーダンスが整合されると、下記のイメージになり、伝送ロスが抑制できます。

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基本的に信号の伝送路は、50Ωと定められていましたが、実際近年各伝送規格団体で決まっているケースもあります。
例え:USB4の特性インピーダンスは42.5Ωと規定しています。
高速伝送時の損失を最小限にするため、ユーザー側が決めた特性インピーダンスに近いケーブルを選択するのも重要です。

ここでは、例として細線同軸ケーブルをAWG#40に☑を入れました。
また、必要に応じてdiscreteケーブルのサイズも選択できます。(本記事では省略)

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⑥ 嵌合方向の決定


お客様側でのコネクタ配置場所や、嵌合作業のしやすさ、基板サイズなどの条件がそれぞれ異なります。そのため選択するコネクタの嵌合方向も異なります。
以前、記事( こちら )で紹介したことがありますので、ぜひご覧ください。
ここでは、例として水平嵌合に☑を入れました。

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いかがでしたか?この①~⑥の手順で、結果的にCABLINE®-CA II が検索できました。
お客様自身はこの順番で適切なコネクタを選べましたでしょうか?

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I-PEXは高速伝送コネクタのソリューションエキスパートとして、お客様の使用状況に応じ様々な設計を行い、最善のご提案をさせて頂いております。
上記の検索方法以外に、製品のマトリックス表もご用意しております。こちらもぜひご活用ください。
 

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