M.2 搭載システムにおけるEMIの課題と、SX-M2シールドコネクタ (B-Key) のメリット
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要約
コンピューティング機器、ネットワーク機器、産業機器、および組込みシステムの進化が続く中、設計者は小型化・高集積化された製品において、信号品質(Signal Integrity)および電磁両立性(EMC)を維持するための課題に直面しています。
M.2モジュールは、ストレージ、通信、および拡張機能を最新の電子システムへ組み込むために広く使用されています。しかし、高速動作する部品が近接して配置されるようになるにつれ、不要な電磁放射がシステム全体の性能や規格適合性に悪影響を及ぼす可能性があります。
I-PEXのSX-M2シリーズは、優れた信号伝送性能を維持しながら、接続部(インターコネクト)レベルで電磁放射を低減するよう設計されたB-Key M.2用シールドコネクタです。独自のシールドシェル構造とスライドカバー機構により、コネクタ周辺のEMIを抑制し、標準M.2との互換性を維持したままEMC性能を向上させます。
EMI対策機能をコネクタ内部に統合することで、SX-M2は設計自由度を高め、幅広いアプリケーションにおいて高い信頼性を実現します。
市場動向
データ集約型アプリケーション、エッジコンピューティング、人工知能(AI)、およびコネクテッドデバイスの普及により、高速な処理能力、ストレージ性能、および無線通信性能への要求が高まっています。
同時に、電子機器はさらに小型・高密度化が進み、高速モジュール、プロセッサ、および無線デバイスが近接して配置されています。このため、電磁干渉(EMI)のリスクが増加し、EMC性能はシステムレベルで非常に重要な要求事項となっています。
その結果、設計者は小型化と高性能化を両立しながら、設計初期段階からEMIを効果的に抑制できるソリューションを求めています。
技術的課題
システムの高集積化が進む中、製品性能や規格適合性に影響を与えるさまざまなEMC課題への対応が必要となっています。
コモンモードノイズの発生
インピーダンス不連続やインターコネクト構造による信号の不平衡は、コモンモード電流を発生させます。これは放射ノイズの主要因の一つです。
コネクタ構造からの電磁漏洩
コネクタ構造内の開口部や隙間から電磁エネルギーが漏洩し、EMI増加の原因となります。
グランドおよびリターンパスの不連続
非効率なリターン電流経路は放射ノイズを増加させ、信号品質を劣化させます。安定した高速伝送のためには適切なグランド設計が不可欠です。
隣接部品間の電磁結合
周辺モジュールから発生するノイズが隣接回路へ結合することで、通信性能、信号品質、およびシステム信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
SX-M2の構造と主なメリット
SX-M2シリーズは、標準M.2インターフェースとの完全な互換性を維持しながら、EMC性能を向上させるために設計されたシールドM.2コネクタです。EMI対策機能をコネクタ内に統合することで、システム設計の簡素化、スペース利用効率の向上、およびシステム信頼性の向上を実現します。
完全統合型シールド設計
金属製シールドシェルがコネクタ全体を囲み、可動式スライドカバーと連携してM.2インターフェース周辺からの電磁漏洩を低減します。
モジュール挿入後にスライドカバーを閉じるだけでシールド機能が有効となり、シールドテープ、ブラケット、外付けシールド部品などは不要です。
メリット
• コネクタレベルでEMI性能を向上
• 二次シールド材の削減
• システム設計および組立工程の簡素化
• PCBおよびシステムスペースの有効活用
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強化グランド構造
シールドシェルがM.2モジュールのグランドパターンへ直接接触することで、低インピーダンスのリターンパスを形成し、不要なノイズ伝搬を抑制します。
メリット
• 放射ノイズの低減
• ノイズ封じ込め性能の向上
• システム全体のEMC性能向上
• 高密度実装システムにおける安定動作
量産を考慮した設計
シールド構造を備えながらも、自動外観検査(AOI)に必要な視認性を確保しており、生産工程でのはんだ接合部検査が可能です。
メリット
• 品質管理をサポート
• 検査信頼性の向上
• 生産リスクおよび工程ばらつきの低減
標準M.2互換性(B-Key)
SX-M2は標準67 pin M.2コネクタとの機械的および電気的互換性を維持しています。そのため、大規模な設計変更を行うことなく既存システムへ導入できます。
メリット
• 既存プラットフォームへ容易に採用可能
• システムアーキテクチャへの影響を最小化
• 開発期間の短縮
• 導入コストの低減
EMI解析結果
シールド効果を評価するため、SX-M2と従来M.2コネクタを比較する3D電磁界シミュレーションおよび放射ノイズ解析を実施しました。
シミュレーション条件
ソフトウェア:CST Studio Suite 2024 SP5
周波数:2.4 GHz、5 GHz、6 GHz


解析結果
評価した全周波数帯域において、コネクタ周辺の放射エネルギーが低減されることを確認しました。従来M.2コネクタと比較して、SX-M2はコネクタ周辺に集中する電磁界を大幅に抑制しました。
これらの結果により、統合型シールドシェルとスライドカバー構造が、電磁放射の封じ込めおよび電磁漏洩の低減に有効であることが確認されました。また、コネクタ開口部周辺の放射ホットスポットも低減され、システムレベルでのEMC性能向上と設計マージン拡大に寄与することが明らかになりました。
SI(Signal Integrity)評価
一般的にEMI対策構造を追加すると、高速信号特性への影響が懸念されます。しかし、SX-M2は高速インターフェースに必要な伝送性能を維持できるよう設計されています。
評価項目
• Insertion Loss(挿入損失)
• Return Loss(反射損失)
• NEXT(近端クロストーク)
• FEXT(遠端クロストーク)

評価結果
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評価の結果、SX-M2のシールド構造は信号品質を維持しながらEMI抑制性能を向上できることが確認されました。
つまり、コネクタレベルで効果的なEMI対策を実施しても、信号伝送性能への悪影響を最小限に抑えることが可能です。
その結果、従来の「EMI対策と電気性能のトレードオフ」を回避しながら、システム全体のEMC性能向上を実現できます。
システム設計上のメリット
SX-M2を電子システムに採用することで、設計者はシステム統合を簡素化し、開発リスクを低減しながら、電磁両立性(EMC)を向上させることができます。
EMC認証リスクの低減
コネクタレベルで電磁放射を抑制することで、EMC試験不適合のリスクを低減し、再設計や開発遅延の可能性を最小化します。
サブシステム間の共存性向上
不要放射を低減することで、近接する電子部品やサブシステム間の相互干渉を抑え、システム全体の信頼性向上に貢献します。
追加シールド部品への依存低減
シールドケース、導電ガスケット、シールドテープなどの追加EMI対策部品を削減できます。
その結果、
• 部品点数削減
• 組立工程簡素化
• 設計効率向上
を実現できます。
設計・レイアウト自由度向上
EMI性能向上により、限られたスペース内でモジュールや電子部品をより柔軟に配置できるようになります。
結論
電子機器の小型化・高集積化が進む中、EMI制御の重要性はますます高まっています。従来のM.2コネクタはEMC性能に影響を与える放射ノイズ源となる場合があります。
I-PEX SX-M2コネクタは、独自のシールドシェルおよびスライドカバー構造により、この課題を解決します。EMIを抑制しながら優れた信号品質を維持できる点が特長です。
SX-M2はB-Key M.2アプリケーション向けに設計されており、標準M.2インターフェースとの完全な互換性を維持しながら、コネクタ単体でEMI対策機能を提供します。EMI抑制、信号品質、標準M.2互換性を兼ね備えたSX-M2は、幅広いB-Key M.2アプリケーションに適した実用的なソリューションです。
コンピューティング機器、ネットワーク機器、産業機器、および通信機器において、
• システム設計の簡素化
• EMC性能の向上
• 信頼性の高い動作
を実現します。
さらに、コネクタレベルでEMIを低減することで追加対策の必要性を最小限に抑え、次世代M.2プラットフォーム向けのシンプルかつ効果的なソリューションを提供します。



